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西三数学サークル通信89号

 2009年最初のサークルには、2008年の2月から中国の福建省にある
龍岩学院・外国語学院(外国語学部)で日本語講師をしている鶴原先生
の参加がありました。先生は現在、学校が冬休みで帰国中とのことで、
サークルにレポートを持っての参加でした。鶴原先生の中国での生活に
ついては HP「
Crane」をご覧下さい

滑らかな定幅図形・・・・・・・・・・鶴原

ルーローの三角形(右図)には、「角」があります。
つまり「微分不可能」な点があるわけです。
そこで、「滑らかに連続」な定幅図形を考えてみました。

@ 一辺aの正三角形ABCがあります。各辺を延長します。
図1のように置いたとき、頂点Aから上側に半径aの弧を描き
ます。次に同様にAを中心として、下側に半径2aの弧を描き
ます。
A 頂点B,Cからも同様に2つの弧を 描きます。この「おに
ぎり」が、幅 3a の「定幅図形」であることは容易に確かめら
れるでしょう。さらに、円弧の接続点は辺の延長線が法線となっ
ているので、「滑らかに連続」であります。(図2)
B 任意の三角形ABCからも、 同様に左図のように作図できます。
幅 a+b+c の「定幅図形」ができました。これも「滑らかに連続」
であることは明らかです。(図3)


数教協 第34回東海地区研究会議 開かれる

 12月20日(土)、21日(日)に蒲郡荘において、第34回東海地区研究会議が開かれました。
12月の初めの段階での宿泊希望者が10名ほどで、参加人数が心配されましたが、講演の
講師である何森氏の中京大学での教え子たちの参加があり、宿泊人数は20名を超える人数
でした。
講演「数学の授業は格闘技 〜数学教育の楽しさ」
講師:何森 仁氏(神奈川大学)

 トイレットペーパーの巻き数・・・・・・・・・・竹中(豊野高校)

トイレットペーパーの内径と外径の長さを測るだけで、巻き数を計算で出し、実際に巻き数を数えてみる
という教材は、愛知私教連ではずいぶん前から随分と実践されているが、私は3年の数学が受験でいら
ないクラスで初めて授業を行った。

授業展開】


 トイレットペーパーはネピア シングル 長さ60mを使用した。
@ 内径と外径を生徒が測定。 r=1.95cm R=5.2cm であった。
A 何巻きかを予想させる。
B 50巻きほどいたところで、もう一度生徒に予想させる。
(巻き取りは生徒用椅子の足に右図のようにトイレットペーパー
を差し込んで数える。)
C 巻き数を計算で求める。
 長さ60m=6000cmのトイレットペーパーの内径の半径をrcm
外径の半径をRcm、とする。
 下図のようにトイレットペーパーを切り開くと台形の形になる。台形
の上辺の長さは2πr、下辺の長さは2πRとなる。トイレットペーパー
の一枚の厚さをd cm、巻き数をn とすれば、台形の高さはnd cmと
なるから、面積Sは S=π(r+R)nd …@となる。
また、トイレットペーパーの長さは6000cmだから、
面積Sは S=6000d …A
 @=Aより、トイレットペーパーの巻き数n=6000/π(r+R)

いま、r=1.95cm R=5.2cm であったから、代入して計算すると、n=267.2
@ 巻き数を測定する。
 実際に生徒に巻き取らせたら、ぴったり267巻きであった。

 トイレットペーパーの巻き数が中学までの数学で計算でき、しかも、ほぼ計算通り
(4クラス中2クラスが同じであった。)になっていることに生徒は驚くと共に数学の威
力を実感できるとってもいい教材です。