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西三数学サークル通信125号

西三数学サークル 春の合宿研究会(3月16日,17日)開かれる

 昨年は高校集会、2年前は前日が東日本大震災
のため急遽、中止したため、合宿研究会は3年ぶり
に開かれました。
 参加者は38名(県外は千葉県、東京、福井県、
長野県、兵庫県、京都府など14名)、宿泊18名
(県外10名)、初めて参加された方が10名でした。
 1日目の2つの講座の後の夜の交流会は自己紹
介だけで夜中の12時近くまでかかりました。2日目
の研究発表は発表者の申し込みが少なく心配しま
したが、当日は10名を越える発表があり、時間制
限をしなければならないほどでした。今回は2日目
の午後も講座を入れましたが、講師の大西先生が
折り紙に折り目を印刷までしていただき、参加者全
員、難しい花紋折りを完成させ、おみやげとして持
ち帰ることができました。

講座@ 『若い数学教師へのメッセージ』 黒田 俊郎氏(東京電機大学講師)

 「楽しい授業の組み立て方」

@ 到達目標をはっきり決める。
 そこに至るやさしく楽しい道を探す。
A 工作・実験を取り入れる。教具
 を持っていく。
B つねに「発展させる」ことを考える。
C 生徒に問題を作ってもらう。

「微分法の授業の具体例」

1 容積最大の箱を作る

【問題】たて10cm、よこ16cmの厚紙が
あります。この厚紙の4すみから、同じ
大きさの正方形を切り取り、残りを折り
曲げてふたのない箱を作る。容積を最
も大きくするためには、切り取る正方形
の1辺の長さをいくらにしたらよいか。
 表とグラフを作って考えよう。
2 勾配

 1の問題を解決するためには「グラフが登
り坂か、下り坂か、また、急な勾配か、ゆる
やかな勾配か」を調べる必要がある。
 右図のようにベニヤとモノサシでミニカーの
登坂能力を測る実験を行います。
3 曲線のグラフの勾配を測る

 「どんな曲線もごく狭い範囲を見ると、
直線に見える」という性質から、直線と
みなして勾配を求める。
 実際に、右図の のグラフの勾配を測る
には、下図のような穴の開いた「魔法の
メガネ」を使って、曲線が直線として、勾配
を求める。

(初めに、一番左側のメガネを使い、穴
を通して直線に見えなければ、順次右
側のメガネに移る。)
 この結果、 の勾配は 、 の勾配は と表
されることがわかる。勾配を表す関数を
元の関数の導関数という。
4 1の問題を解決する。
 微分を使って、到達目標の達成。

5 問題作り
 15cm×20cmの厚紙から適当な大きさの長方形を切り取って容積最大の箱を作る。

 ここまで、8時間、残りの時間は式を使った微分法の授業を行う。

 【参考資料】:「授業をどう組み立てるか−『数学教育法通信』より」
(黒田俊郎・数学教育協議会 ¥500) 


講座A 『私の教具・教材観』 和田 博氏(長野県小諸商業高校)

 10年後は数学でも手計算でやることは
なくなっている。もっと電卓、関数電卓を
使って楽しい授業をやるべきである。また、
工作などもキットになっており、数と量の
概念が出来ていない今の子供たちが、多
くなっている。そのためには、逆に手作りの
教材、教具作りが大切である。

 

直線と放物線の式のとらえ方

@ 直線の式


A 放物線の式


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