西三数学サークル通信 19号

2001年度 教育研究全国集会 
                      2002年1月11日〜14日 in 高知

1日目

  全教の教研に参加するのは久しぶりである。
名古屋空港を10:40発の小さなプロペラ機で出発。
12:00高知着。飛行機を降りると南国の風が心地
よい。開会式までは時間があるので、バスで高知駅
まで行き、ホテルに荷物を預ける。駅の周辺は至る
所で右翼の街宣カーが大声を張り上げている。昼
食の後、専用バスで開会式が開かれる総合公園ま
で行く。書籍売り場を回っていたら数教協の売り場
に『数学なんかやっつけろ-学力飛躍と人間性回復
を-』の著者の和田先生にお会いする。現職を退職
されてからも若い人と一緒にサークル活動を続けて
見えるという。
 開会集会は地元教職員による“よさこい乱舞”から
始まり、主催者あいさつ、来賓あいさつ、合唱構成劇
などの後、作家の澤地久枝さんの講演「おとなの役
割」が行われた。終わりは19:00。再び専用バスで
高知にもどる。夜は愛知県代表団の交流会に参加す
る。

       高知新聞(2002年1月12日(土) ⇒
       の朝刊) 

2日目

 
  数学の会場は高知駅からJRで25分ほどの所にある後免(ごめん)駅から徒歩5分の所にある高知
農業高校(かつて、和田先生が教えて見えた所)多目的ホールである。全教の教研で公立高校が使用
されるのは初めてではないだろうか。喜ばしい事である。午前中のレポートは@『高校生の算数の力』
(青森・高・吉田雅浩)とA『算数新教科書を検討する 計算ゲームのすすめ 計算作問のすすめ』(京
都・小・亀谷義富)の2本。@は県下2番手の進学校の生徒も単純な計算間違いが多い。そこで、授業
の本題に入る前にパズル的な問題(4つの数と+、-、×、÷、( )を使って合計を10にする。)を解かせて
数の感覚を身につけさせる報告。Aは計算の形を型分けして、児童に計算問題や文章題を作問させた
ところ、現実感のない問題を多く作ってきたという報告。討論では教材のリアリティとは何かが問題になっ
た。
  午後は小と中・高に分かれての分散会。レポートはB『三角比の授業』(富山・高・川西嘉之)、C『単
振動の合成から加法定理へ』(長野・高・和田博)、D『中2図形学習40時間を振り返って』(埼玉・中・徳
重 洋)の3本。Bは三平方の定理や相似比など中学で学んだ内容もていねいにプリントを使った実践
報告できるだけリアリティを持たせる為に角度の工夫している。Cは単振動の合成をグラフと図を用い
て、ていねいに指導した報告。図を用いた加法定理の証明は大変優れている。Dは楽しく分かる授業を
目指して、中2の図形指導を年間計画を見直した報告。

3日目

午前中は小と中・高に分かれての分散会。参加者は司会2名、レポーター10名、共同研究者2名、一
般参加者12名、会場係り2名の16名である。レポートは@『積分の授業』(埼玉・高・鯨井浩明)、A『今、
数学がおもしろい!』(山形、私学・高・秋葉敏浩)、B『読みきり授業』(愛知・高・竹中芳夫)の3本。@は
工業高校の生徒に分かりやすくおもしろい数学の授業を実践するために、区分求積法を中心に据えた微
積分の実践報告。Aは数学通信を通して、数学は公式を丸暗記するものでなく、理解し、納得させ、数学
のおもしろさを紹介した報告。Bは高校最後の数学の授業をいい思いで終えるために、毎時間読みきりの
授業をした実践報告。
  午後は小・中・高一緒の全体会。レポートはC『全員リレーに勝とう』(東京・中・武井宏彰)、D『総合的な
学習の時間』(香川・中・高井和雄)、E『市民講座「塩が教える幾何学」の取り組み』(北海道・高・成田収)の
3本。Cはクラス全員リレーに勝つために、数学を使って分析した報告。Cは総合的学習の時間にコンピュ
ーターの授業も取り入れた統計の授業をやったらどうかという提言。Dは組合主催の市民講座で行った数
学の授業の報告。教室では得られない緊張と喜びがある。
  夜は算数・数学分科会の懇親会が高知駅の近くの居酒屋で開かれた。参加者は23名ほどで、大変楽し
い会であった。

 4日目

  最終日は共同研究者からの問題提起が行われた。増島先生(自由の森学園高校、和光高校、法政大学)
からは数学の学力の国際調査を見て、日本の数学教育の問題点を指摘された。また、山形大学の森川先生
は山形五小の佐藤先生と一緒に研究しながら行っている総合学習の授業の報告があった。討論では高校
卒業時点での学力とは何か、数学のおもしろさは実生活の中にだけあるのではない、等が話し合われた。