2004年度 中京大学 一般推薦(情報科学部)

次の文を読んで、後の問に答えよ。

 弁護士志願の苦学生Sが、先生Tの門をたたき、「授業料は、弁護士として
最初の裁判に勝ったとき支払う」という約束で教育を受けることになった。
 やがてSは弁護士の資格を取り独立したが、まったく授業料を支払う様子が
ないため、Tは怒って“授業料支払い”の裁判を起こした。これはSにとって弁
護士として最初の裁判になった。この裁判を起こしたとき、Tは友人に次のよう
に言った。
「私は裁判に勝っても負けてもSに授業料を支払わせることができる。その理
由は、

私が勝てば、 ア  し、

私が負ければ、 イ からである。

 一方、Sの方も強気で次のように言った。
「私は裁判に勝っても負けてもTに授業料を払わないですむ。その理由は、

私が勝てば、 ウ  し、

私が負ければ、 エ からである。

 このように、TとSは、裁判の勝敗に関わらず、「授業料を支払わせることが
できる」(T)と「授業料を支払わないでもすむ」(S)というまったく正反対の考え
を持つにいたった。

問1 本文中の ア 〜 エ に入る最も適切な文章を次の選択肢群から選び、
  番号で答えよ。

@ 授業料を支払えという判決なのだから、支払わせることができる。
A 授業料を支払わなくてもよいという判決だから、支払わないですむ。
B 最初の判決に負けたことになるのだから、約束によって支払わないですむ。
C 相手は最初の判決で勝ったことになるのだから、約束によって支払わせる
   ことができる。

問2 次の表は、2人の言い分を裁判の勝敗によって整理しなおしたものである。
  表のマス目a〜dに当てはまるものを下の選択肢から選び、番号で答えよ。
  同じ番号を2度以上使ってもよい。

   判決に従った場合   約束に従った場合 
TがSに裁判で勝つ       a      b
TがSに裁判で負ける       c      d

 選択肢群
(1) TはSに授業料を支払わせることができる。
(2) TはSに授業料を支払わせることができない。

問3 TとSが正反対の考えを持つにいたった本質的な原因を、以上2問への解答を
  参考にして論ぜよ。(400字〜600字)

【解答例】

問1

 ア   イ   ウ   エ 
 @  C   A   B 

問2

 a   b   c   d 
 (1)   (2)   (2)   (1) 

問3

 SがTに授業料を支払うかあるいは支払わないかを決める際には、従うべきルールが
二つある。一つは「Sが弁護士として最初の裁判に勝ったとき、SはTに授業料を支払う」
という2人の間の「約束」である。もう一つは「裁判において。Tが勝ったときは支払い、S
が勝ったときは支払わなくてもよい」という裁判の「判決」である。
 また、TとSがそれぞれ到達しようとする結論は常に一定であり、まったく正反対のもの
である。TはSに「授業料を支払わせることができる」、Sは「授業料を支払わないですむ」
というものである。
 そしてこれらの結論に至るために、裁判に勝ったときあるいは負けたとき、TとSは「約
束」に従うか、それとも「判決」に従うかという選択を正反対に行っている。Tが「判決」に
従うとき、Sは「約束」に従い、Sが「判決」に従うとき、Tは「約束」に従っている。つまり、
自分の一定の結論に至るために有効なものを選択して根拠としているのである。もし、
2人共が同じ一つのルールに従えば、結論もどちらか一つに決まるはずである。
 TとSが正反対の考えを持つに至った本質的な原因は各自が自分の考えの根拠として
「約束」と「判決」の二つのうちどちらをとるかとうt選択をいつも正反対に行うためである。

                                『推薦入試年鑑』(栄美通信)より